笑うと歯ぐきが黒い?「メタルタトゥー」の原因と簡単に元に戻せない理由
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メタルタトゥーとは?なぜ歯ぐきが黒くなるのでしょうか?
お口の中は、唾液、温度変化、食べ物の酸など、非常に過酷な環境にあります。
この環境に長期間置かれた歯の詰め物や被せ物(主に銀歯)に使われている金属の一部が、イオン化して溶け出し、それが歯ぐきの組織に染み付いてしまう現象を「メタルタトゥー」と呼びます。
見た目は、歯ぐきの縁が銀色〜黒色に着色した状態に見えます。
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メタルタトゥーの主な原因は「保険診療で使用されている銀歯」
保険診療で使用される金属(金パラなど)は、複数の金属を組み合わせた合金です。
これが長年使用している間に溶け出すことによって歯ぐきに着色してしまう現象です。
この金属の溶け出しは、審美性の問題だけでなく、金属アレルギーなどを引き起こすリスクも僅かながら伴います。
よく間違えられやすいですが「保険診療の銀歯が危険」なのではなく、「保険診療の銀歯を何十年も入れ替えずに使用している」ことにリスクがあります。
実際、昨今日本中のほとんどの人に銀歯が入っている状況で大きな社会問題にはなっていません。
メタルタトゥーよりも重要!長期間使用した銀歯が抱えるリスク
メタルタトゥーは見た目の問題がクローズアップされがちですが、それ以上に注意すべきは、銀歯そのものの経年劣化です。
保険診療の銀歯は、口腔内の状態によっては長期使用が難しい場合があります。特に以下のリスクが高まります。
放置してはいけない銀歯のリスク
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被せ物の下で進行する二次的なむし歯: 銀歯は、セメントで歯に接着されていますが、長期間の使用により、セメントが劣化したり、銀歯と歯の境目にわずかな隙間が生じたりします。この隙間から細菌が侵入し、銀歯の内部で気づかないうちにむし歯が進行しているケースが非常に多いです。
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金属疲労による破損・割れ: 毎日食事で大きな力がかかるため、銀歯自体や、銀歯の下の歯の根が金属疲労で割れてしまうリスクがあります。歯が割れてしまうと、抜歯が必要になる可能性も高くなります。
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健康リスクの増大(メタルタトゥー・アレルギー): 長年使用し、経年劣化で銀歯が溶け出すことで、歯ぐきの黒ずみ(メタルタトゥー)や、金属アレルギーの発症リスクがあります。
特に、10年以上が経過している銀歯は、内部のセメントや土台の劣化が進んでいる可能性が非常に高くなります。
見た目には問題がないように見えても、内部で重大なトラブルが進行していることが少なくありません。
メタルタトゥーを発見した場合はもちろん、長期間使用している銀歯をお持ちの方は、一度歯科医院で定期検診を受けることをおすすめいたします。

メタルタトゥーを元に戻すための治療法と限界
残念ながら、一度歯ぐきに沈着してしまった金属の着色は、歯磨きや市販の製品で簡単に元に戻すことはできません。歯科医院での専門的な処置が必要です。
ステップ1:根本原因の除去(必須)
まず、原因となっている金属の被せ物や土台(コア)を全て除去することが、最も重要な第一歩です。これだけでも、着色が薄くなるケースがあります。
ステップ2:歯ぐきの漂白処置(ピーリング)
金属の除去後、残った歯ぐきの黒ずみを改善するために、歯ぐきの表面を剥がして新しい組織の再生を促すピーリング処置が行われます。
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ケミカル・ピーリング: 特殊な薬液を使い、金属成分が沈着している部分の歯ぐきを除去し、約2週間かけてきれいなピンク色の歯肉へと再生させます。
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レーザー・ピーリング: レーザー光線を用いて黒ずんだ部分を除去します。レーザーには傷の治りを早める効果もあります。
注意点として、これらのピーリング処置は、1回で完了しないことが多く、複数回行う必要があります。
そして何よりも、古い金属の被せ物・土台が残っている限り、再発する可能性が高いという限界があります。
メタルタトゥーを根本的に防ぐ方法と最新治療
メタルタトゥーを完全に防ぐためには、原因となる古い金属を使わないことが唯一の方法です。
最新の歯科治療では、見た目が美しく、金属アレルギーのリスクがない「メタルフリー」の素材も主流になっています。
【再発予防策1】銀歯が一見問題無さそうでも、10年以上使用していものは新品のものに入れ替える
メタルタトゥーの再発を防ぐ選択肢として、一番シンプルで保険診療内で実施できる方法です。
長年使用している銀歯は内部で劣化して、むし歯の原因になる可能性も十分にあるため
一度入れたから大丈夫ではなく、定期的な歯科検診を実施し、古い銀歯は入れ替えるようにしましょう。

【再発予防策2】保険診療で対応可能!白い被せ物「CAD/CAM冠」
メタルタトゥーを防ぐ選択肢として、現在では保険診療内で対応可能なCAD/CAM冠(キャドキャムかん)があります。
これは、金属を一切使わず、白いプラスチック素材(レジン)とセラミックの粒子を混ぜたブロックを、コンピューター制御で削り出して作る被せ物です。
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メリット: 金属を一切使わないため、メタルタトゥーや金属アレルギーの心配がありません。見た目も自然で、保険適用内で治療が可能です。(適用部位には条件があります)。
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流れ: 金属を白い素材に置き換える治療をご検討の際、適用部位であればこのCAD/CAM冠を選択できます。
【再発予防策3】強度と美しさを追求する自費診療
より強度や美しさ、耐久性を求める場合は、自費診療のセラミック治療が最適です。
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ファイバーコア: 土台(コア)に、金属ではなくグラスファイバーを使用したものに変更することで、メタルタトゥーの根本原因を断ち切ります。
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オールセラミック冠: 天然歯のような色調と光沢を持つセラミックの被せ物を使用します。金属不使用で審美性・耐久性が高い治療です。
メタルタトゥーの改善は、見た目の美しさだけでなく、口腔内の健康と将来の全身の健康を守るための大切なステップです。
古い銀歯は入れ替えて健康な口腔内を維持しましょう
メタルタトゥーになっている方は歯科医院での除去が必要ですが、再発&予防のためにも古い銀歯は入れ替えるようにしましょう。
かかりつけ歯医者をしっかりと持って定期的は歯科検診を続けることがメタルタトゥーを防ぐ近道になります。
大阪市住之江区でかかりつけ歯医者を探している方はすみのえグリーン歯科へぜひご相談ください。